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博士・ポスドクの『転職体験記』

博士研究員29歳、アカデミアでの研究内容を活かし、無職の危機から第一希望の素材メーカーの研究開発職へ

Information
  • 転職体験記
    • 澤田 秋男 氏 / 29歳
    • 大阪府立北千里高等学校 卒
      関西学院大学 理工学部 化学科 卒
      関西学院大学大学院 理工学研究科 博士課程前期課程 修了
      関西学院大学大学院 理工学研究科 博士課程後期課程 修了
      博士号(理学) 取得
      Python・Fortran

1.    ポスドクとしてのキャリアと産業界への転職

転職体験記を執筆するにあたって、私の場合はポスドクからの転職という極めて特殊な例になります。
ポスドクとは1~3年程度の契約期間で大学や国の研究機関で研究業務に従事する若手研究者のことです。
ポスドク及び高い専門性を持つ方のお役に立てればと思います。

私は大学院で博士課程まで進学し、27歳で理学の博士号を取得しました。
その後、運良く規模の大きい国立研究所にポスドクとしての仕事を得ることができ、研究者のキャリアとしては悪くない道を歩んでいたように思います。
その研究所での高度な研究内容にやりがいを感じていましたが、一方でアカデミア業界における、任期制による不安定且つ薄給での雇用や、ポスト不足によるキャリアの不透明さの危険な面を肌で感じていました。
2年後に歴史ある大学の研究室にポスドクとして入職し、研究に従事していた時、突然に教授から「来年の契約更新はできない」と言われ、無職になる危機に直面しました。
これを契機にアカデミアの行先に不安を感じていた私は、産業界への転職を決意しました。

しかし、これまで転職活動どころか新卒での就職活動もしていませんでした。転職について調べるうちに、転職エージェントに頼るべきであるという情報を見つけ、検索エンジンで「ポスドク 転職」と調べ、検索結果の最も上に表示された(株)エリートネットワーク様にお世話になることにしました。

2.    転職エージェントのサービスを利用してみて

転職エージェントのサービスを利用させて頂いて、まず感じたことは簡単であることです。
最初に履歴書と職務経歴書の2つだけ気合を入れて書く必要がありますが(これらも添削して頂けます)、書けてからは、エージェント様に応募の手続き、面接の日程調整、企業様への連絡の全てをお任せできることに驚きました。もし個人で転職活動をしていたらと思うとぞっとします。
また、最初にカウンセリングを行って頂き、私個人の希望や志向などをお伝えできることも安心に繋がりました。担当転職カウンセラーの保坂様には最初からネガティブな理由での相談をしてしまいましたが、強く私を引っ張って下さり、転職活動をサポートして頂けたことに大変感謝しております。

3.    博士の転職活動

私の転職活動の軸としては、専門である無機材料化学・計算科学を活かして研究開発をしたいと考え、素材メーカーの求人を紹介して頂きました。
実はこの時、私にはまだ不安がありました。日本社会での博士人材は年齢も高い上にオーバースペックとされ、扱いづらい人材だと言われていたからです。
しかし、いくつかの求人票を拝見してみて、極めて専門性の高い業務内容が多くあることを知りました。その中から、材料化学あるいは計算科学に関する求人から応募させて頂きました。
他のエージェント様での応募も含めると全体で約15社応募した中で、私の場合は書類選考通過が6社、内定が3社(残りの3社は選考辞退と1次面接落ち)から頂けました。
結果として、第一希望である無機材料メーカー様に内定を決めました。

選考で感じたことは、私が思っていた以上に " 博士という人材は評価されていた " と感じました。
そして、書類選考に通るか落ちるかが、はっきりしていたということです。具体的には無機化学メーカーや計算科学の業務内容は通過しましたが、同じ化学でも有機化学や実験技術者の求人には通らなかったといった具合です。

4.    転職活動にこだわった点と有利に働いた点

転職活動の中で こだわった点は、“ 無機化学・材料化学に携わること “ でした。これは自身の持っている専門性を活かすことが、自分の人生を豊かにする上で近道であると考えたからです。

逆にこだわらなかった、というより意識した点は、“ 専門を直接的な形で活かせなくても良いという心構えを持っていたこと ” です。面接時にも、「計算だけでなく実験はできるか?」、「研究開発以外もしてみたいか?」というような質問を受けましたが、全て 挑戦してみたいと答えるようにしていました。
これはポスドクとしての研究生活の中で、専門性の高い人材になるためには自身の専門を高めるだけではいけないと考えるようになっていたからです。
博士人材が転職活動で苦戦するといわれる要因の1つは、自身が積み重ねてきた知識と経験を、直接的に使うことにこだわってしまう傾向があるためだと思います。私は国立研究所勤務のときに、研究者としても社会人としても未熟であることを思い知らされていたので、自身の専門性を活かしたいと考えながらもこだわり過ぎないようにしていました。

とはいえポスドクの転職といっても一括りにはできないと思いますので、私の場合での転職活動に有利に働いたと感じた点を挙げてみます。
①活動時、29歳という博士人材としては比較的若い年齢だった。
②専門が計算科学であったために、量子力学を始めとする理論的な分野に強かった。
③プログラミングを含めたデータ科学による材料開発の経験があった。

特に若かったことが功を奏したのかもしれません(元も子もないですが…)。
また、これは面接前に指導されますが、アカデミアから民間企業への転職の理由をポジティブに話したことです。
転職理由は任期切れによる職探しですが、材料科学に携わる上で実用化まで関わりたいという思いも強く持っていました。
実際に材料を世に出すことはアカデミアでは難しいので、その点も好意的に受け取って頂いたのかもしれません。

5.    今後の博士人材と産業界についてと転職後の意気込み

日本は、2004年の国立大学の独立法人化に伴い、大学の主な収入源である運営費交付金を毎年1%ずつ減額し、2016年までに約1500億円削減され、そこからほとんど増額されていません。
そのため大学や研究所は研究者の人件費や研究費を削減せざるを得ず、アカデミアの雇用・研究環境は極めて危険な状態になってしまっています。
待遇面に言及すると、私は “ ポスドクとしては悪くない金額 ” を頂いていました。しかし、これは世代年齢の中央値程度である上、契約は1年更新、昇給・賞与・手当無しでした(国立の規模の大きい研究所でもこの状況です)。
今回内定を頂いたときの内定通知書には、諸々含めると1.5倍ほどの差がありましたし、当然ですが任期などありません。私が転職活動で最も驚愕したのはこのアカデミアと民間企業の待遇の差でした。

更にその差に加え、産業界での博士のような高い専門性を持った人材のニーズは “ 強制的に高められている ” と転職活動を通して実感しました。それは中国を始めとする世界の技術発展やAIの発達・DXの推進などで産業構造が大きく変わってきているからです。
今後は私のようにポスドクや助教の産業界への転職が加速し、博士課程の学生がアカデミアに進まず民間企業に就職することが予想されます。私の転職後の意気込みとして、民間企業に移ったからゴールではなく、その方達に遅れを取らない様によりいっそう専門性を高めて社会に貢献していかなければならないと感じています。

6.    最後に

私は実際にアカデミアでの任期切れに直面して転職を決意しましたが、そのようなキャリアに不安を抱えているポスドクの方も多いと思います。
検索エンジンで「ポスドク」と検索するとネガティブな結果ばかり出てきますが、今となっては博士として評価してもらえる場所は必ずあると断言できます。
もしアカデミアの環境に消耗されているのであれば、転職エージェントを頼ってみることで、これまでとは違う新しい道が見えるかもしれません。

また、この拙い文章を読まれた方に、アカデミアの若手研究者が置かれている現状を少しでも知って頂けると幸いです。

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