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博士・ポスドクの『転職体験記』

応用物理学専攻の工学博士39歳。モノづくりの課題を人と組織の視点から解決したいと、総合化学グループ部品メーカーの開発職から財閥系シンクタンクの技術コンサルタントへ

Information
  • 転職体験記
    • 野田 国昭 氏 / 39歳
    • 都内私立高校 卒
      九州大学 工学部  卒
      九州大学大学院 工学府 博士課程 修了
      工学博士号
      修士・博士論文:新規半導体材料の製造プロセス解析、品質向上に向けたボトルネックの明確化と改善提案
      TOEIC 820点
      日商簿記2級
      応用情報技術者

① 新卒時の就職活動

大学では最初に機械工学を、次に材料工学を専攻し、日々さまざまな実験や解析に取り組んでいました。専攻を切り替えた経緯からもご想像いただけるかもしれませんが、単一の技術領域に閉じこもるよりも、複数の技術を掛け合わせて新たな価値を生み出すことに強く惹かれており、就職活動でも「異なる技術の融合に挑戦できるメーカー」を軸に企業を探していました。

とは言え、当時は業界研究の進め方もよく分からず、正直なところ最初はかなり模索しながらのスタートでした。それでも、企業説明会やOB訪問を通じて感じた “人と人とのつながり” や “社内の風通しの良さ” が最終的な決め手となり、半導体部品メーカーへの入社を決意しました。技術的なチャレンジだけでなく、組織の中で人と人が有機的につながって動いていることが、その会社の最大の魅力に感じられたからです。

② 入社した企業(メーカー)での開発業務

入社後は、材料を加工して製品の部品に仕上げる開発部に配属されました。希望していた「技術を組み合わせる仕事」とは少し異なり、どちらかというと1つの材料技術を深掘りする業務が中心でしたが、現場でモノづくりの品質をとことん突き詰めていくプロセスには、良い意味で衝撃を受けました。部品はお客様に納入された後、さらに上位の製品として組み込まれていくわけですが、組み合わせる技術の1つ1つがここまで突き詰められているのだなと深い学びを得ました。

入社2年目には、新製品向けの部品開発プロジェクトにもアサインされ、企画部門や製造部門と密に連携しながら業務を進める機会が増えました。大学の研究室ではどちらかと言うと「正しいかどうか」が重視されましたが(在学中に出会った人は情熱的な人が多く、学術的成果を積み上げるために重視するポイントがそこでした)、開発の現場では「どう伝えるか」「どう動いてもらうか」が問われました。このギャップに戸惑いながらも、少しずつ技術者としての幅、人間としての幅が広がっていく感覚がありました。

③ 転職を考えたきっかけ

正直なところ、転職を考え始めたころは「これだ!」と言い切れるほど明確な転職理由はありませんでした。なんとなくもやもやした気持ちを抱えながら、転職活動を始めたというのが実情です。
当時、プロジェクトが一段落したところで「このまま居続けたときに、どこまで成長できるのだろう?」という疑問を持ったり、職場単独では乗り越えることが困難な課題へのもどかしさを感じたりしました。約1年間、悶々と考え続けた末に、職場の課題は他のメーカーも抱えており、かつ解決のためにはよりマクロな視点でのアプローチが必要、との考えに至りました。
ならばいっそ、外の世界に出て、課題に直接働きかけられる仕事を目指すのも一つの道ではないか。そんなふうに仮説を立てて、一歩を踏み出しました。

一方で、長年慣れ親しんだ職場を離れるということは、当然ながら大きな葛藤も伴いました。特に私の場合はありがたいことに、任せてもらっていた業務が多く、「これをどう引き継いだら職場のパフォーマンスを維持、向上できるか?」という点が一番の悩みでした。自分自身、これまでの失敗や試行錯誤を通じて多くを学ばせてもらい、それが自分の “経験値” として蓄積されていることを実感していたので、それらをどうやって他のメンバーに伝えていけばいいのか……というのは今も試行錯誤中です。
ただ、実際に引き継ぎを始めてみると、これまで自分が無意識にやっていたことを言語化したり、後任に説明したりする中で、「あれ、ここはもっとシンプルにできるかも」「このフローって改善の余地があったな」と、自分の業務の見直しができる機会にもなっていて、これはこれで成長のチャンスだと感じています。

④    転職活動でのこだわりと進め方

転職活動では、これまでの技術分野での実務経験をベースにしつつも、より広いスコープで価値を生み出せる職種を軸に据えて活動しました。少し大げさかもしれませんが、「いろいろな "人” を組み合わせて事業を成立させるような挑戦」ができる環境に身を置きたいという気持ちが根底にありました。これまで「異なる技術を組み合わせて価値を生む」取り組みをしてきましたが、今度はその “技術の組み合わせ” を “人や組織の組み合わせ” にまで広げていきたい、というイメージです。

とは言え、最初から方向性が明確だったわけではありません。複数の転職エージェントに登録してみたものの、自分の課題意識にフィットする業界・企業はどこなのかが見えておらず、初期はこれまでと同じメーカー企業もいくつか受けてみるなど、かなり紆余曲折を経ました。自己分析については自分なりに向き合っていたつもりでしたが、業界研究や企業選定のフォーカスがなかなか定まらず、今思えばずいぶん遠回りをしていたようにも思います。

そんな中で非常にありがたかったのは、理系院卒・メーカー開発職というほぼ純粋培養された技術者である私の特性や背景、さらにはふわっとした課題意識にまで丁寧に耳を傾けてくれる(株)エリートネットワーク様と出会えたことです。新卒での就職活動ではエージェントの方にお世話になることはありませんでしたが、今回初めて “他者の視点” で可能性を広げてもらうことのありがたさに気付きました。
技術職としての専門性と、(結果として)異業種へのチャレンジという一見相反する希望をうまく噛み合わせてくれる提案に出合えたとき、ようやく本格的に次のキャリアを見据えるスイッチが入ったように思います。

⑤    転職活動を振り返って

エリートネットワーク様と二人三脚で転職活動を進め、最終的に納得感のある企業様とご縁が持てました。これは、自分の頑張りだけでなく、良い伴走者に出会えたからだと思っています。
実際、転職活動を通じてご紹介頂いたさまざまな企業の方々とお話する中で、「自分の課題意識に合う場所ってこういうところかもしれない」と感じる瞬間が増えていきました。また、メーカー以外の選択肢を知らなかった自分にシンクタンクという新しい道を提示してくださったのは、大きな気付きでした。理系の技術職としてキャリアを積んできた私にとって、メーカー以外の世界は正直全くの未知でした。だからこそ、これまでの経験の延長線では決して出合えなかったご提案を頂き、自分の課題意識にフィットする業界・企業として納得感を持って選択できたことをありがたく感じています。

実を言うと、この記事を書いている今、まだ新しい職場には入社していません。今回の納得感を持てる転職が「成功だった」と言えるかどうかは、これからの自分次第。ようやく立ったスタートライン。この一歩を大切に、前に進んでいきます。

⑥    エリートネットワーク様を利用して良かった点

私が転職活動を進める上で特に印象に残っているのは、エリートネットワーク様の転職カウンセラーの高橋様と岡本様のご対応です。初回の面談で「アラフォーからの転職は厳しいかも」とズバッと言っていただいたことで、逆に目指すべき方向と難易度が明確になりました。
また、ご紹介頂ける求人案件の選定も初回面談後に迅速にご対応頂き、かつその記載内容がその企業様の成り立ち、社風にまで踏み込んだ充実したものでした。エージェントとして徹底された仕事ぶりに、頼もしいなと感じたことを覚えています。

加えて、私の抽象的な志向に対しても誠実に向き合い、ただ求人案件を紹介するだけでなく、私自身の特性をしっかり捉えた上で企業を選んでくださったのが印象的でした。ぶっちゃけたことを書くと、単にエージェントとして仲介料を稼ぐのであれば、ふわふわしていた私に対しては(業種は言いませんが)、流動性の高い高年収案件を提示すれば済むはずです。高橋様と岡本様は、そのようなことをせず、しっかりと私という人間を観てくれました。結果として面接においてミスマッチをほとんど感じなかったのは、お二人の的確なマッチング力のお陰だと感じています。

⑦ 最後に

転職はキャリア形成の1つの手段であり、やる・やらないに正解はないと思います。ただ、もし踏み出すのであれば、それは必ず新しい気づきや成長のチャンスになります。私にとって今回の転職は、自分を見つめ直してガラッと変えてみるプロセスでもありました。アラフォーでガラッと変わることが楽なはずはありませんが、良いエージェントや多くの企業様と出会えたこと、そしてそこからの学びを経て、どうにかこうにか目指した道のスタートラインに立てたことに感謝しつつ、あとはやるだけ。そう思って、前を向いて進んでいきます。

転職体験記に記載されている氏名は、ご本人のご要望により仮名を使用している場合があります。

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