博士・ポスドクの『転職体験記』
理学博士、任期付き助教31歳。経済的な安定を求めて、アカデミアから医療機器グローバルメーカーへの転職に成功
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- 前職
- 【海外大学】
リサーチアソシエイト(助教)
- 現職
- 【東証プライム上場 世界展開する医療機器メーカー】
製品開発部門 医療機器の光学系開発エンジニア
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- 伊藤 直宏 氏 / 31歳
- 県立高校 卒
旧帝国大学 理学部 卒
旧帝国大学院 理学系研究科 博士課程 単位取得満期退学
(海外大学 医学部での研究留学経験有)
理学博士号
博士論文テーマ:光科学に関する研究
日本学術振興会特別研究員(DC1)
TOEIC 880点
プログラミングソフト:LabVIEW、Igor、MATLAB
画像解析:CellProfiler
① 新卒での就活
学部生時代から博士課程に進むことは決めていて、リサーチフェローシップをもらいながら国立大で学士、修士、博士課程を終えた。
また、大学入学当初から、将来グローバルに活躍していくために英語学習を続けていた。
博士課程修了後、自身の目標通りに海外の大学にて研究員として勤務を始めた。
② 研究員としての担当業務、体得したスキル
勤務していた海外大学では、自身の研究活動や研究室の学生の指導といった業務を経験した。
自身の研究分野における最先端の研究活動を行う事に留まらず、異分野融合の国際共同研究の推進といった、国内にいたら得ることの難しかっただろう経験、スキルを得た。
また、日本を離れたことで、日本の研究活動・業務活動における良い点(仕事開始時間や会議の開始時間にpunctualな点、細かい作業まで丁寧なquality)や、良くない点(仕事終了時間や会議終了時間に対してはルーズ、長時間労働を美徳として労働効率をあまり追及していない文化等)を客観視でき、視野が広がることで和洋折衷で良いところを取り入れることができたように思う。
③ 今回転職に至ったきっかけ
任期が終了すること、今後の人生設計のために経済的な安定が必要であることがきっかけ。
アカデミアのポストは倍率が高く(国や大学にもよるが、海外トップ大だと数十倍も珍しくない)、また契約任期が2~3年と短い、雑務にも時間を割く必要性がある、等の理由から、アカデミアに残っているからといって思い通りに研究に没頭できるかというとそういったことは全くない。
更に、年齢を重ねれば重ねるほどインダストリー(企業)に戻ることが困難になっていくため、一度人生経験として海外を経験した後に、日本企業への転職を考えていた。
④ 譲れないと考えた事柄と、逆に従来のこだわりを捨てた点
研究開発に携われるかどうか、また製品開発を通してグローバルな規模で役に立てるかという点は譲れないと考えていた。
また、今後家庭を持ち、子育て等を進めていくので、給与や残業時間、福利厚生のレベルも最終的な転職先を選ぶ上で考慮に入れた。
逆に、アカデミア時代にはフェローシップ確保や次のポストを見つけるため最優先事項であった、ファーストオーサーでより高いインパクトファクターのジャーナルに論文が出せるかどうか、といったこだわりは一切無くなった。
それよりも、仕事とプライベートの両立、労働時間当たりの生産性、収入といった点を以前より重視するようになった。
転職活動が無事終わった結果として、今後の人生設計が非常に立てやすくなり、準備を進めることができている。
⑤ 転職活動を通じて気づいた点
転職活動における面接には慣れが必要だと体感した。
最初の1~2社の一次面接前にはよく眠れず、また言いたいことがスムーズに日本語で出てこないことが多々あった。
この点は場数を踏むことで大きく改善された。
また、アカデミアの当たり前がインダストリーでは当たり前ではなく、テクニカルタームの多用であったり、アカデミアでの常識を前提で話してしまうのをできるだけ避けるよう気をつけていた。
特に、パワーポイントやアニメーションを使用することができず、口頭のみでの説明を要求されることが多いと思われたので、より簡易的な説明をし、もし質問を受けたらより深く回答をする、ということを心がけた。
アカデミアでの就職活動の際と比較すると、日本企業での転職活動における面接では(当たり前かもしれないが)面接官がほぼ自分の過去の論文を読んできてくれていない、研究を理解してないと感じることも多々あったが、まあそういうものだよね、と気づき、割り切るようにした。
日本式の面接に慣れた後は、面接中に自分をより良く見せよう!みたいに肩ひじを張ることを止め、自分がこれまで積み上げてきたこと(研究やその他の活動等)を淡々と話す&質問を受けたら回答するようにしたら上手くいくようになった。
⑥ (株)エリートネットワークを利用して
日本での就職、転職活動の経験が無かったため、初心者レベルから転職活動の流れを教えて頂けたり、日本式の履歴書・職務経歴書のドラフトの確認や面接の模擬練習をして頂けたりしたのが良かった。
また、最初の面談で私のバックグラウンドや転職先の志向性の把握に努めてくれた。
決してインセンティブの大きい業種にゴリ押しされるようなことがなかったため、信頼して二か月弱の間転職活動を進められた(他社では、実際に学歴だけを見て、「コンサルに進めば人生バラ色ですよー」と無理やり進められそうになり、非常に不愉快だったことがあった)。
連絡も基本的に24時間以内に返信を頂けたので、ストレス無く転職活動を進められた。
自身の通常業務や海外出張等で空き時間がタイトな中、複数企業との面接のスケジューリング等も全く問題なく対応して頂けた結果、自身が希望していた予定までに複数社から内定を得るところまで完了したため、非常に助かった。
⑦ 次の職場に賭ける意気込み
これまでアカデミアでの研究活動によって得たスキル、経験を活かし、転職先での研究開発を通して、より社会に直接的に貢献していく所存である。
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