博士・ポスドクの『転職体験記』
有機化学系ポスドク(博士研究員)、化学メーカーの研究員へ
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- 前職
- 国立大学 研究所 特任助教
- 現職
- 一部上場 大手化学メーカー 研究員
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- 水沢 唯香 氏 / 31歳
- 京都大学大学院 工学研究科 博士後期課程 修了
TOEIC 765点
① はじめに
私は博士号を取得した後、出身大学とは別の大学の研究室でポスドクとして研究を続けておりました。専門は有機化学で、合成したモノの生物学的な評価を行うようなライフサイエンス研究を学生時代から一貫して行ってきました。
修士や博士を修了するタイミングで民間企業への就職も少し考えましたが、説明会などで各企業の話を聞いてもピンとこず、大学で研究を続けていこうと消去法でポスドクになってしまいましたが、今思えばもっとよく考えれば良かったと反省しております。
ポスドクの任期は4年で、最終年である4年目に、指導教授の異動に付いていく形で私も異動になりました。ここでは、異動先の研究室の立ち上げや引っ越しを全部任され、さらに特任助教への昇進も決まっていたので、その後の任期なしのポストが用意されるものだと思っていました。
しかし現実は甘くなく、予定通り任期切れと共に現職のポストが失われるため就活をするように告げられました。この経験から今後も大学で働くということに不安を覚えたこと、また自身のアカデミックの研究者としての能力不足を実感することとなり、長期的に安定して待遇の良い民間企業で働くことを望むようになりました。
また、大学での基礎研究よりも企業での実践的な研究開発に興味が移っていたことも企業への転職を決めた一因でした(大先輩である吉野博士のノーベル賞受賞には大いに励まされました)。
② 転職活動開始
周りのポスドクの方々は当たり前のようにアカデミックのポストに転職しているので、ポスドクから民間企業への転職活動は右も左も分からない状態でした。シンプルに「ポスドク 転職」でネット検索をしましたところ、エリートネットワークさんがヒットし、さっそく面談を申し込みました。
私が転職先の基準として考えていたことは、
①自身がこれまでの研究で身に付けた有機化学の合成力やライフサイエンス研究のスキルが生かせる会社
②出身大学の先輩・同期・後輩が新卒で就職するような、ある程度の知名度と企業規模のある会社
の2点でした。他にもいわゆる大手の転職エージェントにも登録しておりましたが、これらの基準を満たす求人が提案されることは少なく、どちらかの条件を変えなければいけないのかと悩んでおりました。
担当いただいたエリートネットワークの転職カウンセラー篠原様は、これらの希望を満たすような求人をすぐにご紹介くださったこと、また、求人のご提案だけでなく、私を直接企業に売り込むポジションサーチも行っていただけるということで、篠原様にお任せしようと面談時に決意致しました。実際、今回私が内定をいただいたのは、十数社ほどポジションサーチで応募した中の一社でした。
③ 応募から内定まで
篠原様に、化学メーカーと製薬会社を中心に私を紹介可能な企業を20社ほどリストアップしていただき、その中から私が応募したい企業を取捨選択していくという形で応募をスタートしました。
始めはなかなか書類選考を通過せず、焦りを感じましたが、追加でご提案いただいた企業のうちの一社から書類選考通過の案内があり、面接に進めることとなりました。
私は企業の採用面接の経験がなく、またあがり症で面接というもの自体に苦手意識があったので、非常に不安でした。しかし、篠原様に電話での面接対策を懇切丁寧に行っていただき、その甲斐ありまして、面接当日は緊張はしましたが、自身の能力をアピールし、考えを伝えることに成功し、無事1次面接と最終面接をクリアすることができました。
面接ではアカデミアから企業に移ろうと考えた理由について必ず聞かれましたから、その理由をポジティブにかつ志望動機に繋げられるような論理的なものとなるように心がけました。
他には、企業がアカデミア出身者を採用するにあたり、一番不安視されていると思われる協調性とコミュニケーション能力もしっかりあることをアピールしました。私の場合は、企業との共同研究の経験があること、学生や後輩の指導経験があること、研究室立ち上げを他の研究員と協力して行ったことなどを具体的なエピソードとして盛り込みました。
篠原様からは面接終了ごとにお電話でフォローや叱咤激励をいただき、大変励みになりました。他にも自身で求人に応募していた企業があったのですが、そちらにはご縁がなかったため、最初から私を評価していただいていた会社の内定を受諾することに致しました。
④ 転職活動を終えて
大学という狭い世界で研究だけを行っていたポスドクという立場の私にとって、民間企業への転職活動は非常に厳しいものになると予想しておりました。
実際、書類選考がなかなか通過しなかった際は、新卒で就活をしていればと後悔するようなこともありましたが、きちんとポスドクとしてのこれまでのキャリアを評価してくださるところもあるということを知り嬉しく思います。
また、そういった企業とご縁を繋いでくださった篠原様には感謝しかありません。
大学から企業へとかなり大きなキャリア転換となりましたが、いち早く企業での研究に慣れ、世の中に貢献していきたいと思います。
ポスドクで大学でのキャリア形成に不安を感じている方がおられましたら、企業への転職も視野に入れてみることをお勧め致します。
大学から企業への転職は決してハードルが高いということはなく、必ず自身のポスドクとして培ってきた能力を評価してくださる会社があると実感致しました。
今の自身にとってベストなポジションに決まることができ、エリートネットワークさんにお世話になって良かったと思います。
今後、自身のこれまでの経験が無駄ではなかったと胸を張って言えるように、新天地でも尚一層精進して参りたいと思います。