博士・ポスドクの『転職体験記』
中国から留学し、地方国立大学で流体の数値解析を研究する30代工学博士。大好きな日本で末永く働きたく、プライム上場 プラントエンジニアリング会社のエンジニアに
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- 前職
- 【地方国立大学の研究員】
工学教育研究部 流体騒音解析・予測手法の研究開発担当
- 現職
- 【東証プライム上場 大手プラントエンジニアリング会社】
材料・解析技術部 流体解析エンジニア(流体解析・技術開発業務担当)
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- 王 志偉 氏 / 31歳
- 中国 地方公立中学校 卒(日本の高等学校と同等)
中国 地方名門公立大学 機械工程学院 卒
国立大学大学院 工学研究科 修士課程 修了
国立大学大学院 工学研究科 博士課程 修了
専攻分野:流体の数値解析
中国大学生数学モデリングコンテスト 学部生組 一等賞
アメリカCOMAP数学モデリングコンテスト 特別賞
TOEIC 710点
日本語能力試験1級(N1)
① はじめに
外国籍の方が日本で就職活動を行う際には、しばしば難しさを感じることがあると思います。しかし幸いにも、私は(株)エリートネットワーク様のエージェントサービスのおかげで、納得のいく就職先に出会うことができました。
ここでは、自身の留学生活や就職活動を通じて得た経験をお伝えしたいと思います。日本で就職を目指す中で迷いや不安を抱えている外国籍の方々にとって、少しでもお役に立てれば、大変嬉しく思います。
② 日本での就職を希望した経緯
母国の中国の大学では機械工学を専攻していました。機縁があって、日本の地方国立大学への短期交換留学プロジェクトに手を挙げたのがきっかけで、初めて日本を訪れました。日本の学術環境、文化や飲食、そして日常生活に触れ、日本に留学したいという思いが芽生えました。
中国の大学を卒業後、日本の大学院に進学し、流体工学を専門とする修士課程に進みました。まさに光陰矢の如し、2年間の修士課程はあっという間に過ぎました。より高度な知識を学びたいという気持ちと、引き続き日本で生活したいという思いが強まりました。
そうして博士課程へ進学。自身の専門知識と研究能力を高める道を選び、工学博士の学位を修得しました。
日本で長年生活する中で、私は「日本で就職し、これからも暮らしていきたい」と思うようになりました。そこで博士卒業の約2か月前から就職活動を始めました。
③ 留学生活の苦労
多くの留学生と同じように、日本語は大きな壁でした。
来日したばかりの私は、日本語がほとんどできなかったため、英語コースの学生として大学院に進学しました。学校生活に必要な手続きは、日本語が上手な先輩の留学生に手伝っていただくことが多くありました。
日本での生活に早くなじむために日本語学習を重視し、できるだけ日本語で交流するようにしました。日本語力も少しずつ向上し、自分が後輩の留学生をサポートできるようになりました。
海外での留学生活には、孤独や不安がつきものです。
生活は順調なことばかりではなく、困難や悩みがあったときは、一人で解決しなければならない場面が少なからずあります。そのような生活の中で、私はキャンプやサーフィンを好んでやるようになりました。キャンプは孤独を恐れず、自然の中で心を落ち着かせる時間をくれました。サーフィンは挑戦に立ち向かう勇気をくれ、失敗から学ぶ姿勢を育んでくれました。これらの経験は、社会人としての成長にも大きくつながったと感じています。
博士の道は、長くて辛い修行のようなものでした。
博士の研究は難易度が高く、私はたくさんの専門書や文献を読み、何度も試行錯誤を重ねました。こうした経験を通じて、専門知識を深めるとともに、課題解決能力を培い、粘り強さを身につけることができました。
直面する課題に挑戦する姿勢や、プレッシャーに耐える力は、これからの仕事においてきっと活かせると確信しています。
④ 博士から就職する難しさ
博士課程では、主に流体の数値解法の開発と応用に取り組んでいましたが、学んだ専門知識やスキルを実際に社会で活かしていきたいと考えました。そのため、大学や研究機関のリサーチャーを目指すのではなく、民間企業での研究開発エンジニアを目指しました。
しかし、実際に就職活動を進めると、博士が民間企業でポジションを得ることの難しさを痛感しました。文部科学省の調査によると、近年、博士課程修了者の就職率は約70%であり、修士の77%や学士の98%を下回っています。
博士人材の採用ニーズが高くない現状もありますが、それ以上に博士の専門性と企業の業務とのマッチングが難しく、企業は柔軟性の高い学部卒や修士卒を好む傾向があると言われています。
さらに留学生を採用する場合は、日本語力のレベルや日本文化への適応度、入社後の定着性などを理由に、企業側がより慎重になると強く感じました。
⑤ エリートネットワーク様を利用したきっかけ
博士向けの求人情報をインターネットで探していた際に、エリートネットワーク様のサイト『博士就職・転職ガイド』を見つけました。キーワード検索をすると、自分の専門分野にマッチする求人情報がたくさん表示され、その多くが大手企業の募集であることに驚きました。その中の一つの求人に強く興味を持ち、応募してみたいと考えました。
まもなく、エリートネットワーク様の転職カウンセラーの黒澤さんから面談のご案内をいただきました。正直なところ、「一度ぐらい面談しても損はない」という軽い気持ちでしたが、今振り返ると、この面談こそがようやくの就職へとつながる転機だったと思います。
⑥ 転職カウンセラーとの就職活動
黒澤さんの第一印象は、穏やかで謙虚、そして優しく、経験も豊富で責任感の強い方だと感じ、安心してお任せできると思えました。私の希望するキャリアや要望を深く理解してくださり、多くの魅力的な求人案件をご紹介いただきました。
紹介後は、私の応募意志を確認したうえで、黒澤さんが手続きを進めてくださり、その点も大変心強く感じました。また、企業との面接日程の調整をはじめ、面接のポイントや対策についても具体的なアドバイスをいただきました。
さらに、面接後には感想や気になる点を丁寧に聞いてくださり、企業側へのフォローやプッシュをしていただけることも大きな安心につながりました。
黒澤さんにはいつも迅速にご返信やご対応をいただき、常に私のことを気にかけて、サポートしてくださっていると感じました。
もちろん、すべての選考が期待どおりに進んだわけではありません。企業とのご縁がなかったときには、黒澤さんはいつも温かい言葉で励ましてくれ、不採用になった原因を一緒に分析し、次に活かす改善点を提案してくださいました。
そして常に新しい求人案件を探して紹介していただいたお陰で、最後まで前向きに就職活動を続けることができました。
黒澤さんと一緒に努力できたからこそ、理想の会社とご縁を得ることができたと思います。黒澤さんへの感謝の気持ちは、言葉では言い表せません。
⑦ 最後に
就職活動は大変でしたが、エリートネットワーク様と黒澤さんのサポートのお陰で、無事に内定をいただくことができ、本当に良かったです。改めて、心より感謝申し上げます。
これから日本での就職を目指す博士課程の留学生の方々に、ささやかながら参考になればと思い、いくつかのアドバイスを共有させていただきたいと思います。
1、キャリアの進路を明確にし、早めに就職活動を始めること
研究機関か民間企業か、キャリアの進路は早めに決めましょう。これは企業側が重視するだけでなく、自分の将来にも大きく関わります。キャリアの目標を決めたら、早めに行動することが大切です。良い仕事はいつまでも待ってくれるわけではなく、早く始めるほど希望に合ったポジションに出会えるチャンスが大きくなります。
2、専門分野にこだわり過ぎないこと
博士での研究は専門性が高いですが、その領域だけにとらわれてしまうと、就職の選択肢が限られ、自ずと難易度も上がってしまいます。企業が博士人材に求めているのは専門性だけでなく、他分野への応用力や挑戦心も重視しています。自身の専門性を活かしながらも、幅広い分野に目を向けて考えることがポイントです。
3、転職エージェントを利用すること
転職エージェントは質の高い求人情報を持っているだけでなく、就職支援の経験も豊富です。自身の状況や希望に合った求人案件を紹介してくれるのはもちろん、応募から面接、内定、そして入社までを一貫してサポートしてくれます。そのため、自分一人で進めるより効率的に就職活動ができ、就職成功の可能性もぐっとアップします。
最後になりましたが、就職活動中の皆さんがエリートネットワーク様を通じて、良い就職先に出会え、就職活動の「勝ち組」となれることを願っています。