データが語る博士・ポスドク
欧米・アジア諸国との比較
欧米・アジアの主要国の状況と比較すると、日本の停滞した状況が際立っていることがわかります。
特にアメリカは、その国際的影響力の高さから、他国から米国内の大学院の博士課程に進学することも珍しくないため、圧倒的であることは寧ろ当然でしょうが、そうした影響力がアメリカの国際競争力の強さを示しているとも言えます。
その中でも特に中国の成長率は凄まじく、2000年代初頭と比べて2010年代後半では中国とはその差を大きく引き離されてしまっているのが現状です。
また、2000年代では日本が上回っていた韓国と比較しても、その差は今やほぼなく、今後の成長の期待値という側面では日本の方が劣後してしまっていると指摘せざるを得ません。
これまで述べてきた博士課程の入学者数、ひいては博士号取得者の減少の要因には少子化、人口減少という全体的な母数の変動も少なからず影響していると考えられますが、根本的に「博士課程に進学する意義を見出せない」ことも挙げられるでしょう。
そこには「進学する意義」に直結する、「アカデミアと民間企業との非連続性」、それゆえの「博士のキャリアパスの視野不良」による不安感があるのではないでしょうか。