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産業界で活躍する博士インタビュー

世界最大級の無形資産可視化データベースと未来構想力により、サステナブルで革新的な未来を創造するアスタミューゼ株式会社

Interview

アスタミューゼが目指すものを教えて下さい。


「最新・最先端の研究論文や特許情報、判例などの膨大な知のデータが寡占されることなく多くの人々に流通し、イノベーションやより良い未来の創出に活用されることを目指しています。」

そもそもアスタミューゼは、企業各社の知的資産を可視化し、活用を支援し、その対価を得る事業を最終目的にスタートした訳ではありません。このビジネスモデルは弊社を存続させるコア事業ですが、「知の流通」と「知の活用」を進める私たちが目指しているのは「知の民主化」…つまり最新・最先端の「知」が寡占されることなく、あまねく人々に触れられる機会をもたらすことです。
イノベーションは、企業やヒトに対して投資が行われた結果、革新的な技術やビジネスが生まれるという、「企業・ヒト」「お金」「技術・ビジネス」の循環であると考えています。この循環を円滑にするために、知の流通が必要です。そうして多くの企業や人にイノベーションの創出を促すことで、社会課題の解決や、より良い未来創造の実現を引き寄せる一助になりたいと考えています。したがって、知の獲得に相当なコストをかけることができる大手企業のみならず、研究や開発、社会実装にかける予算が限られるアカデミアやスタートアップはもちろん、個人や中小企業にも、必要とする「知」を安価に供給する存在になることが私たちのゴールと言えるでしょう。

そうした観点から、私たちは政府や官公庁、そしてスタートアップへの投資を企図するVCにもサービスを提供しています。VCが投資先に対するDDを確実に行うために、投資対象技術の価値判断や未来市場予測で支援しているのです。事実、世間の耳目を集めたスタートアップの成功の裏で、私たちが投資および事業成長を加速させる役割を担ったケースは数多くあります。

永井様がアスタミューゼを設立するに至った経緯を教えて下さい。


「東京大学大学院で原子力について研究し、そこで取り組んでいた多岐な領域に亘る研究成果を原子力以外の分野でも応用させることができるのではないか考えました。」

私は大学で機械工学・人工知能を学び、大学院では原子力工学と数値流体力学を専攻しました。学部時代は、アルバイトで入社したソフトウェア開発企業に4年間ほど関わり、最終的には取締役を務めました。その頃はWindowsやPCが急速に進化した時期で、アプリケーションの新陳代謝が激しく、開発したソフトはいくつか大きくヒットするもののすぐに陳腐化しました。スピードが最も重要で、時を置かずに模倣製品が生まれ機能面や性能面で上書きされるような時代だったのです。そうした状況を鑑み、私はもっと本質的に社会に貢献する技術領域に進もうと思いました。そして大学院進学時に選んだのが原子力です。

当時は日本には資源がなくエネルギー枯渇問題が喧伝されていたことと、原子力が物理や量子力学、流体力学や機械工学、ソフトウェア等の最新の研究成果を必要とする高度な総合科学であることに知的挑戦心が掻き立てられたのです。実際に、大学院進学後に所属した研究室では本当の天才と言えるような研究者に何人も出会うことができました。ところが、原子力関連の研究は大変にクローズドな世界で、その頃オープンソースによる共同開発と成果の共有・活用が進んでいたITとは正反対の状況でした。
そこで私が次に目指したのは、究極の複合領域である原子力の持つ研究推進ノウハウを原子力以外の技術領域で応用するとともに、様々な分野の産業やアカデミアに向けてオープンソースの発想で多種多様な知を流通させ、複合領域を創起させることです。これらが実現できれば社会の発展に寄与できるのではないかと考え、言わばオープンイノベーションの触媒役のような存在を担おうとしました。また、公開されているはずの学術論文や特許情報に接するために、なぜ研究者やベンチャーが大金を払わなければならないのかという疑問もありました。そして、世界中で生まれている価値のある知の情報を公開・共有・活用するという、現在のアスタミューゼの原点がここに誕生したのです。

社名の由来は、asta(アスタリスク)+ muse(ミュージアム)を組み合わせた名称としました。背景としては、「アスタリスク(すべて)」の知を「ミュージアム(美術館)」のように広く公開したいという想いが強く込められています。当時の私の考えや取り組みに賛同し、支援してくださる存在も現れました。たとえば、政府の研究機関や大手企業の研究所などです。そうした支援者と共に事業に対応していく中で、徐々に法人化すべき規模にまで拡大していきました。

アスタミューゼが様々な学術領域から博士や研究人材を迎える理由を教えて下さい。

創業当時は直近で活用されているようなレベルのAIやクラウドサービスは世の中に存在していませんでしたが、価値のある情報を集めてデータを整理してインターネット上で公開するだけでも何百万人からのアクセスがあり、世界中の人たちから「ありがとう」という言葉が届きました。ただ、近年になって論文や特許情報の数は指数関数的に増大しているため、その膨大な数のデータを集めて分かりやすい情報に整理するには、アルゴリズムの力が必要不可欠です。社内開発したアルゴリズムにより価値のあるデータを抽出して視覚化し、ノイズを排除したものを蓄積しています。
しかしながら、これらのイノベーションデータはいずれも現在から見ると過去の情報であり、最新の先端情報としては不十分です。これまで蓄積された豊富なイノベーションデータに加えて、先端技術の知見や技術情報を組み合わせ、有望なアイディアを出すことができるのは、常に最先端の技術や研究に高い情報感度を持ち、学習を続けるエキスパート達です。AIの進化によってできることは格段に増えましたが、未来創造には人間の力が必要不可欠であると考えます。したがって、未来構想力を持つテクノロジーアナリストとして活躍いただくために、必然的に博士や研究人材に白羽の矢が立ちます。

弊社のテクノロジーアナリストは、自身の専門分野以外のプロジェクトに関わる機会が多いことが大きな特徴です。自身の専門と距離のある異分野を学ぶことは、一見すると効率がよくない印象があるかもしれませんが、俯瞰して見ると、テクノロジーやビジネスにおいて共通点やつながりを見つけられたり、自身の専門分野の更なる深堀りにつながったりと、異分野の知識の習得以上に自身を成長させることが可能です。また、イノベーションは複合領域の組み合わせから生まれることが多く、専門性の高い事業を行う顧客によい意味で強い意外性を与えるアイディアを提供できるのも大きな強みです。このような背景から、アスタミューゼでは専門領域以外にも関心を持ちアンテナを張っている、知的好奇心の強い博士・研究人材を多く求めています。

博士・研究人材へのメッセージをお願いします。


「多くの博士・研究人材が、自身の専門領域を超えて活躍しています。また修士の人材は、週の一部の時間を使って博士を目指しアカデミアに戻ることも許容しており、弊社内だけではなく、学び続けることを尊重しています。」

弊社では複合領域における分析結果のデータやその価値を理解するために、一つのプロジェクトにそれぞれ専門が異なる3名程度のテクノロジーアナリストが携わり、議論を進めています。単一的な視点で専門外の領域の理解を進めるのではなく、異なる角度からの見識を加え、考察に深みを加えていきます。この過程で知的好奇心が満たされるだけでなく、成果のプレゼンテーションを通じて大手メーカーのCTOやCXO等や、VCや大手投資家に大きな影響を与えるという醍醐味を感じることも可能です。また、ノーベル賞候補にあがるようなアカデミアの最先端技術・研究の社会実装を支援するプロジェクトでは、研究者と大差ない業務に携わることになります。

以上のような仕事を通じて研究者として成長し、アカデミアに戻る、あるいは企業の研究員になるというステップも現実としてあります。学び続ける意欲を持つ博士人材の新たなキャリアとして、弊社にテクノロジーアナリストやコンサルタントとして所属する意義は限りなく大きいことをお約束します。

アスタミューゼで活躍する博士人材インタビュー


イノベーション創出事業部 副部長 
博士(生命科学) 伊藤 大一輔(いとう だいすけ)氏

イノベーション創出事業部 副部長
博士(生命科学)
伊藤 大一輔(いとう だいすけ) 氏


―――アスタミューゼを数あるキャリアの選択肢の中から選んだ理由を教えて下さい。

私は北海道大学の水産学部に入学し、修士課程で魚類の養殖に関わる細胞分裂についての研究を、博士課程では京都大学に移って酵母の細胞分裂の研究を行いました。その後、ポルトガルでポスドク研究員となり、細胞の中にある中心体の形成の仕組みの研究に従事しました。ポルトガルには6年半居ましたが、最新の医学情報を医療機関に提供する製薬会社のメディカルサイエンスリエゾン(MSL)になろうと考え帰国を決断しました。これまでに習得した知識を社会に活かしていく方向にシフトしたのです。就職先にアスタミューゼを選択した理由は、MSLとは異なる職務ながら、医薬分野以外の幅広い最新のテクノロジーの社会実装にも携われるからです。また、顧客の未来を共創していく役割にも面白さを感じて入社しました。

―――現在の仕事内容についてご紹介下さい。

現在はテクノロジーアナリストとして主に大企業の新規事業の創出支援を行なっています。顧客は電機メーカー、化学メーカー、バイオ・食品系の大手企業などです。研究成果や特許といったアセットを活用しながら、複合領域に関する新規事業創出支援を担っています。近年は脱炭素領域で特に水素製造をテーマにすることが多く、他にはスマート農業などの案件も担当しています。

―――どのような人がアスタミューゼに向いているとお考えですか。

専門領域のみならず、様々な分野に興味を持つことができる方には、飽きることのない仕事です。実際に、既存の知見に囚われず挑戦している社員が活躍しています。なお、プレゼンテーションの上手い饒舌な方が必ずしも適しているとは限りません。もちろんプレゼンテーション力は高いに越したことはありませんが、朴訥ながらきちんとしたロジックを組み立てて発信するような方も顧客には好印象に映り、信頼を得ています。

―――今後の目標やビジョンをご紹介下さい。

弊社の強みである様々なデータベースは全て英語に翻訳されているので、国内のお客様に限らないユニバーサルなサービスの開発を手掛けたいと考えています。その中には拠点の海外進出も付随すると考えられます。責任者として成功させたいですね。


イノベーション創出事業部
博士(工学) 琴岡 匠(ことおか たくみ)氏

イノベーション創出事業部 
博士(工学)
琴岡 匠 氏


―――アスタミューゼを数あるキャリアの選択肢の中から選んだ理由を教えて下さい。

私は九州工業大学で材料工学を学び、冶金や無機材料に関する研究をしていました。その後大学院に進学し、AIと材料を結び付ける研究を行っている研究室に所属しました。そこではAIと材料特性を組み合わせた回路やチップを作っており、半導体工学や制御プログラムに関する技術を習熟しました。最終的に人間の脳に近いチップを作ろうと考え、アメリカへの研究留学も経験しました。その後、進路を決める際に、論文が最終成果物となるアカデミアは自分には合わないと考えるようになり、ものづくりに携わることのできる産業界を選択しました。その際に自分がこれまでに学んできた知見を活かせる場所を模索しましたが、一方で色々なことを知りたい、携わりたいという想いもありました。研究所は一つのテーマやカテゴリーに集中することを求められるため、多様な先端技術に深く関われるアスタミューゼを知って2023年に新卒入社したという経緯です。

―――現在の仕事内容についてご紹介下さい。

入社当初は先輩のアシスタントの立場で技術トレンド分析や新規事業の創出支援に携わっていました。そして秋頃になり、早くも1人でプロジェクトを任されることになりました。入社初期と同様に技術トレンド分析のミッションで、ターゲットはモビリティであったため、専門から外れている領域も含まれていましたが、自動車技術分野のエキスパートの本部長である上司に助けられながら完了させることができました。顧客は国内トップクラスの車載機器メーカーで、内容としては水素自動車、電気自動車、それらのエネルギーのマネジメントシステム、駆動系、自動運転、重機の電動化等に至るまで幅広く分析し、自動車業界全般における近未来の技術動向の分析結果を提示しました。

―――どのような人がアスタミューゼに向いているとお考えですか。

博士人材こそ、弊社のテクノロジーアナリストやコンサルタントに向いていると思います。答えのない世界で、自分で課題を設定してゴールまでの道筋を立て、仮説検証を繰り返しながら設定された目標に近づいていく。このプロセスにおいて、アカデミアの研究と今の仕事が本質的に同じだと感じています。

―――今後の目標やビジョンをご紹介下さい。

この1年で想像以上に視野が広がりました。新たな知見を得る機会が大幅に増えたと感じています。バックグラウンドの異なるエキスパート達と次々に出会い、意見交換やディベートを重ねていく中で、大きく成長できたと思います。世界最先端と言っても過言ではない新鮮な情報が日々入ってくるのは刺激的です。新しいことをやってみようという発想も生まれます。今後は技術トレンド分析からさらに社会実装に近づいて、新規事業立ち上げやその後の伴走支援に携わりたいと考えています。

本日はお忙しい中、長時間に亘りご協力頂き、ありがとうございました。

Information

アスタミューゼ株式会社

        
設立 2005年 9月 2日
資本金 200,008,230円
所在地 東京都 千代田区 神田錦町 二丁目 2番地 1 KANDA SQUARE 11F We Work
従業員数 45人
代表者 代表取締役社長 永井 歩
主な事業内容 新規事業・イノベーション創出支援事業
未来創造・未来推定支援事業
投資運用支援事業
主要株主 株式会社電通グループ
株式会社日本経済新聞社
SBI Ventures Two株式会社
※この記事の所属・役職・学年等は取材当時のものです。